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海外就学者/帰国生入試ガイド完全版

小論文対策のポイント


帰国生入試の小論文では、国際問題や異文化理解に関するテーマがよく出題されます。
こうしたテーマについて、自分の考えを述べることが求められます。

このとき、海外での経験をどのように活かすかが重要なポイントです。
単なる体験談ではなく、その経験から何を学び、どのような視点を得たのかを論理的に展開できると高評価が得られます。
出題されたテーマについて、日本と海外の違いを比較しながら、グローバルな視点で問題を分析できる能力をアピールします。

また、異文化理解力や日本の常識にとらわれない広い視野を持っていることは、帰国生の強みです。
これらを具体的なエピソードや事例を用いて効果的にアピールします
ただし、単に「海外にいたときの経験」というだけでは不十分で、その経験をどう深く考察し、自分の思考や価値観にどう影響したかを述べることが大切です。

以下のポイントを押さえて小論文の対策をしましょう。


論理的な文章を書く

小論文では論理的思考力が求められます。
「論理的である」とは「根拠に基づいた主張」ができることです。
ただ根拠があればよいわけではなく、主張と根拠との間には合理的な関連性が必要です。
「合理的関連性がある」こと=「誰もがその根拠からその主張が導かれることに納得できる」ことです。
答案作成時には、自分の主張と根拠とに合理的関連性があるかを検証します。
①その主張から無理なくその根拠に遡ることができるか(「結論ありき」になっていないか)、②その根拠は別の主張の根拠にもなり得ないか、の2点をチェックしてください。

 
 

 
 


 
なんでもイイから根拠をつければ「論理的」になる、というものではありませんよ!
 
適切な文体の使用

小論文答案は「だ調」「である調」や「です・ます調」の丁寧な文体で書きます。
くだけた表現や話し言葉は避け、論文にふさわしい表現を身につけましょう(ただ、「話し言葉」と「書き言葉」の区別は難しいです)。
また、主語・目的語が明確でなかったり、接続語・助詞の使い方など日本語用法上のルールを誤ると、文章が意味をなさなくなることがあります。
海外生活が長く、敬語や文体に不安がある方は、小論文参考書の模範答案などで確認することをお勧めします。
その際、原稿用紙(マス目型答案用紙)使用上のルールも確認しておきましょう。
段落冒頭は1マス空ける/アラビア数字・アルファベットは1マス2文字、その他意外と細かいですよ。

時事問題への関心

日本や世界の時事問題に関心を持ち、自分なりの視点や考えを持つことが重要です。
日本のニュースサイトや新聞を定期的にチェックし、とくに教育、環境、テクノロジー、国際関係などの分野についてアンテナを張り、情報を集めておきましょう。
小論文や就職活動用の時事ネタ本を利用すると効率的に対策できます
とくに国際的な問題については、それが自分の海外での生活に、直接的/間接的にどのような影響を与えていたかを考えます。
それが独自の問題の捉え方=あなたの視点となります。
また、国内受験生向けの総合型選抜/学校推薦型選抜を受験する可能性もありますので、日本国内のテーマもおさえておくべきです。

課題文章の読解力

小論文の問題形式で最もポピュラーなのが「課題文型小論文」です。
比較的長い文章を読み、筆者の考えを要約したり、それに対する自分の考えを述べる形式です。
この形式で高得点をとるには、文章読解力が必要です。
また、データ(グラフ/図表)を読み、そこから推論できることをまとめる形式もあります。

対策は近日公開予定の「総合型カフェの小論文」のページを参照してください。

過去問分析と模擬練習

志望大学の過去の小論文のテーマを調べ、実際に過去問題(入手可能な場合)や他大学の類題の答案を作成する練習をしましょう。
書いた小論文は、できれば添削形式ではなく、専門知識とスキルを持つ講師に直接指導してもらうとよいでしょう。
思考のプロセスの確認という意味で効果が全く違います。

とくに「設問の意図を正確に理解しているか」という点は重要なチェックポイントです。

論理力を鍛える書籍の紹介

野矢茂樹『論理トレーニング』
20年くらい前の古い書籍なのですが、その後このジャンルにおいてこの本に勝るものは出版されていないと思います。
したがって、今日でも論理力を鍛えるにはこの本がベストだと思います。
興味がある方はぜひ読んでみてください。
最初の部分だけでも目からウロコですよ。


時事問題関連書籍の紹介

  • 『公務員試験 時事のトリセツ』
    公務員試験用のテキストですが、試験本という性質上、教養本よりも分かりやすく書かれています。世界情勢や自分の志望学部に関連する項目についておさえておくとよいでしょう。
  • 『図解まるわかり時事用語』
    図解が豊富にあって分かりやすい用語集です。トピックが時系列にまとめられているのが特徴です。各トピックには関連するウェブサイトのURLが付されているので、さらにフカボリして調べるときに便利です。
  • 『最新時事用語』
    雑誌『新聞ダイジェスト』の2025年3月臨時増刊号です。時事問題については定評のある出版社の書籍で、内容への信頼性が高いです。時事問題関連書籍の中でも、最も新しい(2025年3月出版)という点もポイントです。
  • 『Newsweek』
    国際問題を専門に扱う週刊誌です。ほぼリアルタイム(1週間遅れ)でトピックを追っていけるので、国際情勢通になれます。日本語版も英語版もあります。日本語能力の強化を重視すれば日本語版、英語学習を重視すれば英語版、ということになるでしょうか。



これらの書籍でおおまかなところを掴んで、気になるトピックはインターネットやそのテーマを扱った書籍で、詳しく調べるとよいと思いますよ!!