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海外就学者/帰国生入試ガイド完全版

日本語能力の強化



 
帰国生として日本の大学を受験する場合、英語力だけでなく日本語能力も重要な評価基準となります。
特に長期間海外で生活していた学生にとって、学術的な日本語の読み書きと話す能力は、入学後に授業を受講するうえではもちろんのこと、ゼミナールなどで日本語で議論やディスカッションをする機会にも、大きな課題となることがあります。
そして、多くの大学では日本語の小論文試験が課されますので、その対策も欠かせません。

 

帰国生入試で求められる日本語能力は、単に会話レベルの日本語ではなく、学術的・思想的な文章を読解できる能力と、そのようなテーマについて、分の考えを論理的に書いて/話して、正確に伝える能力です。
つまり、①語彙力、②読解力、③文章作成能力を強化する必要があります。

① 語彙力の強化
語彙力の強化のためには、知らない語句に出会ったら辞書をひく習慣を身につけることが大切です。
紙の辞書でなくても、電子辞書でもWeblio国語辞典のようなスマホアプリでも構いません。
意味が判らない語句をそのまま放置しないことを心がけましょう。


現代文用の用語集/キーワード集の利用も効果的です。
人気のある用語集/キーワード集には以下のようなものがあります。

 

  • 『読み解くための現代文単語』
    [小柴大輔]
  • 『現代評論キーワード講義』
    [小池陽慈]
  • 『現代文キーワード読解』
    [Z会編集部]

② 読解力の向上
小論文試験では、思想的/学術的な課題文章が提示され、要約したりそれについて自分の考えをまとめるといった形式が多く見受けられます。
その点も踏まえて、高校生向けに(高校生も対象として)平易に書かれた思想や学術の入門書を読むとよいでしょう。

こうした書籍を読むことで、問題の捉え方や、考え方の枠組みをも身につけることができます。
多くを読んでもよいですし、気に入った書籍を繰り返し読んで理解を深めることも効果的です。
ただし、今の自分のレベルより少し高めの(難しく感じる)ものを読まないと、実力は伸びません

 

  • 『ちくま評論入門ー高校生のための現代思想ベーシック』
    現代思想の様々なテーマについて書かれた評論を抜粋してまとめたアンソロジーです。各文章には詳しい解説が付されています。問題は解かなくて構いません。最初からおわりまで通読する必要はなく、興味のあるテーマの文章ををチョイスして読めばよいでしょう。
  • 『知のスクランブル:文理的思考の挑戦』(ちくま新書)
    日本大学文理学部の研究者たちが、自身の研究分野の基礎から最先端までわかりやすくまとめた論稿のアンソロジーです。文系理系を問わず様々な学術的テーマに触れることができます。小論文のネタ本としても役立ちます。
  • 『あぶない法哲学ー常識に盾突く思考のレッスン』[住吉雅美
    法律プロパーの本ではありません(笑)。法哲学者の立場から、常識や既成概念に鋭いツッコミを突き付けていく記述は、かなりユニークで面白く読めます。小論文に不可欠な、固定観念にとらわれない柔軟な視点を身につけるのに役立ちます。ただ第2章はちょっとキツイかも…。

③ 文章作成能力を養う

「文章を書く」といっても、エッセイや小説のような文学的な文章を書く力ではありません。
大学に入学してから求められるのは、論文やレポートのような、学術的で論理的な文章を書く力です。
この点、小論文と重なる部分もあるのですが、小論文は制限時間内に設問の指示と一定のルールに従って書き上げた文章の優劣を競ういわば「競技」=一種の「ゲーム」の性質を持ちますので、論文/レポートとは異なるところも少なからずあります。

大学の入試方式によっては、出願時に2,000~6,000字程度の論文/レポートの提出を求められる場合があります。
そのときは、下記の書籍が参考になります。
なお、論理的な文章を書くスキルについては「小論文対策のポイント」のページをご覧ください。

  • 『論文・レポートの基本 この1冊できちんと書く!』[石黒圭]
  • 『まったく新しいアカデミック・ライティングの教科書』[阿部幸大]
  • 『思考を鍛えるレポート・論文作成法』[井下千以子]
  • 『はじめてでも、ふたたびでも、これならできる!レポート・論文のまとめ方』[新田誠吾]

Essay

With love to all "Hen-japa"!!

Hello, I'm Kayo, an English teacher.

At my alma mater, International Christian University, you will see such species among students.

- "Jun-Japa"
- "Non-Japa"
- "Hen-Japa"

"Jun-Japa" is a native Japanese speaker, and "Non-Japa" is a native foreign language speaker.
And "Hen-Japa" is a native Japanese speaker who has lived abroad for a long time and speaks in a mixture of Japanese and another language.
Of course, "Hen" is an affectionate way of calling them.
There are also many other types of people on campus, such as "Monmo French-kun" (who speaks French fluently but can't read or write it).

Everyone is a wonderful individual with their own background.

However, if you try to go to a Japanese university, you are suddenly required to read and write in high level of academic Japanese, and I know it's very difficult.

So here's a suggestion!
First, forget about the finer details of expression and focus on logical sentence patterns.
Then, why not try to imitate what is said to be good writing".
This is different from the "template essay"(writing sentences according to a set format) that our representative teacher rejects.
By modeling good writing, you can acquire a sense that "if I follow these steps and develop it in this way, it will become a logical piece of writing."

You could even call it analogy.
"That person developed that topic that way, and then  I'll try to discuss this topic this way."
As you continue to do this, I think the "shape" of your own writing will take shape.

To all the returnees with their lovable individuality,
take pride in being a "henjapa" and smash your way through Japan's entrance exams!
And I hope you will demonstrate your wonderful individuality in your campus life!!

Column 

バイリンガルへの道


 
本ガイドトップページにおいて、授業での日本語による説明を英語でメモする生徒さんについて触れました。
言語が異なれば概念や思考も異なりますが、彼らは二つの言語の間でその境界が曖昧になっています。
それでも二言語を使いこなし思考できるという点で、環境が育んだ特殊なスキルの持ち主と言えます。
しかし、何か思考を伴うタスクを行うにあたっては、思考プロセスの効率が良くないことは否めず、日本語の概念を用いて思考することが必要な小論文試験では明らに不利となります。
外国語モードと日本語モード、完璧は難しくとも、状況に応じて適切に切り替えができてこそ真のバイリンガルと言えます。
日本語で読み書きするときは、日本語での思考を意識して、モード切り替えの訓練をしましょう。

 

Column 

英語を忘れちゃう!?

海外の滞在が長いと、大学受験レベルの日本語の勉強が大変ですよね。

でも、帰国してしばらく英語を使わないでいると、海外では日々まったく不自由なく使っていたはずなのに、あっという間に「英語の感覚」が鈍くなってしまいます。

気を抜いたり油断しないで、試験まで毎日英語に触れるよう頑張りましょう!!


Column 

「帰国生」という強みを忘れないで!


 
入試対策をしていると、日本の受験システムについていくのが大変だと感じることがあるかもしれません。
でも、あなたは国内の受験生にはない、海外での貴重な経験を持っています。
その経験は大学でも、その後の人生でも大きな財産となるはずです。
自信を持って自分の強みを入試でアピールしましょう!!