青山学院大学の独自問題 ①
※このコーナーの記述内容は、順次充実させていく予定です。
青山学院大学の一般選抜個別学部日程では、共通テストと大学の独自問題とで受験することになります。
この独自問題には、小論文、総合問題、論述問題、論述・総合問題、英語、国語、などがありますが、その内容は名称からは判らないくらい様々です。
このコーナーでは、青山学院大学各学部の独自問題について、その内容を分析し、必要な対策を示します。
まずこのページでは、論述力・記述力、読解力、地歴公民の知識などを問うことを主とする学科・方式を紹介しています。
教育人間科学部 教育学科
共テ英:100点
共テ国:100点
小論文:100点
合計:300点
大学入学共通テストの『英語』と『国語』の合計点に基準点を設け、基準点に達した者のうち、「小論文」の得点の上位者を合格とする。
独自問題は「小論文」で、試験時間は90分です。
入試要項には「文章・図表などに基づいて読解・論述する問題を課す」とあります。
大問1のデータ読取り型、大問2の課題文章型ともにオーソドックスな出題です。
大問2の課題文章はやや長めですが、著名な著者・作品が使われています。
ただ、全体に問題量に比して時間がタイトです。
大問1(データ読取り型論述)
小問×2(200字・300字)
大問2(課題文章型論述)
小問1
文章要約(200字)
小問2
下線部の背景や意義に触れつつ、複数の具体例を挙げながら自分の考えを論述(600字)
Ⅰ データ読取り型論述問題
問1:大学・短期大学・専門学校別の男女の進学率の推移を示す折れ線グラフをもとに、男女それぞれの高等教育の進学傾向の変化を300字以内で論述します。
問2:2019年度の大学生全体に対する女子の割合を専攻分野別に示した表をもとに、問1の大学進学率の変化を踏まえた上で、女子の大学進学の特徴を200字以内で論述します。
II. 文章読解に基づく論述問題
課題文章は、人間が生み出す欲求と、その充足のために形成されてきた「権力との関係性、現代社会の特徴、都市文明などがテーマです。
出題内容
問1:文章を200字以内で要約します。
問2:下線部(権力は人びとを、その〈主体〉たる範囲で「保障」したに過ぎなかった)について、背景や意義に触れつつ、複数の具体例を挙げながら自分の考えを600字以内で論述します。
課題文章の概要
■権力と人間の関係
・人間は資源の「欠如」に突き当たり、特定の充足を保障するために権力を生み出しました。
・権力は、人間の生命や幸福にいたるまで「保障」と「支配」を同時に行っています。
・人間は権力の「主体」としても「客体」としても関わり、政治、経済、教育、医療などの権力なくして生活できなくなっています。
・権力は人々に「保障」を与えるため、その主体としての能力、すなわち「教育」を要求しました。
■現代社会と権力の矛盾
・現代は豊かな生活を享受する人がいる一方で、飢餓人口も抱えています。
・現代社会は豊かさの実現のために多種多様な権力が張りめぐらされていますが、「ガラス」のような脆さと「防弾ガラス」のような強靭さの両面を持ちます。
・都市では軋轢や摩擦が日常化し、交通事故や大気汚染、新しい感染症などが増大しており、人々は重圧や苦痛から逃れるために嗜好品を求める傾向があります。
・人間は「最大の保障を最低の支配でもたらす権力」を求め続けており、これは「永遠の課題」であり「権力への意志」とされています。
■都市と飢餓
・都市の建設は豊かな生活を営むための必要条件ですが、十分条件ではありません。
・世界の飢餓人口は増加し続けており、食糧生産の総量が増大しても解決できていません。
・都市は文明として姿を現しましたが、その恩恵に浴するかどうかは権力との関わり次第です。
Ⅰ データ読取り型論述問題
表1枚と図1~図4までの4枚の折れ線グラフ(表付き2枚)が示されています。
問1:小学校、中学校の教員の平日および土日における1日当たりの業務時間の内訳を示す表をもとに、教員の1日当たりの業務時間の内訳について200字以内で論述します。
問2:設置者別の学生生活費と居住形態の割合から、学費・生活費の支出額の異同とその違いが生じる理由を考察し、300字以内で論じます。
・表1(設置者別の学生生活費)と表2(居住形態別学生数の割合)で、国立、公立、私立の区分ごとの学費、生活費、合計額、および居住形態の割合が示されています。
Ⅱ.文章読解に基づく論述問題
課題文章は、「科学的であること」を分析的還元主義と等置するドグマ(独断)を批判しています。医学の「苦しみ」の例を挙げ、分析では捉えられない全体的・主観的な現象の重要性を指摘。科学は、分析一辺倒から脱却し、「人類のために」という目標のもと、全体的な現象把握を取り入れる柔軟な思考法を持つべきだと主張しています。
出題内容
問1:文章を200字以内で要約します。 問2:下線部について、背景や意義に触れつつ、複数の具体例を挙げながら自分の考えを600字以内で論述します。
課題文章の概要
・近代科学の基本前提として、自然現象を構成要素の運動に還元する古典的な因果的決定論がニュートン力学から生まれてきたこと、そしてその論理は分析という道具に絶対的な価値を置く「物理学帝国主義」と結びつくことが論じられています。
・「科学的である」ことの定義が「分析的である」ことと結びついているという暗黙の前提があり、この還元主義はギリシアの「原子論」や近代市民社会の「個体主義」と並行して形成された歴史的必然性があると考察されています。
・しかし、そのドグマから脱却し、「分析的」以外に「科学的」な定義を与える可能性が提示されています。
・医学を例にとり、病原体解明や免疫反応の解明など「科学的」な部分がありながらも、「苦しみ」や「痛み」といった主観的な現象は科学的分析の対象にはなり得ず、従来の歴史的規定の枠内での「科学的」ではあり得ない部分が残ると指摘しています。
・医学は「患者の苦しみを取り除く」という全体的な視点を不可欠とする特殊事情があり、科学全般もまた「分析と総合」という思考法の前提を疑い、「人類のために」という目標を回復するため、全体的な現象把握という新しい発想を分析の出発点にすべきだと結論づけています。
I. データ読取り型論述問題
表1枚と図1~図4までの4枚の折れ線グラフ(表付き2枚)示されています。
問1:「今後1年間、あなたはどのようなことを食育として実践したいと思いますか」という質問に対する回答結果(複数回答可)の一部を示す表をもとに、Ⓐ~①の回答傾向を200字以内で論述します。
問2:小学校、中学校、高等学校、大学の学校数および在学者数の1950年から2020年までの推移を示す図1~4をもとに、学校数および在学者数について、学校の種類ごとに推移の特徴を指摘したうえで、両者を組み合わせて考察されることを300字以内で論述します。
II. 文章読解に基づく論述問題
課題文章は、人間が心に描く「世界像」(〈世界像〉)の意味と役割、そして「思想」の発生について論じています。
出題内容
問1:文章を200字以内で要約します。
問2:下線部について、背景や意義に触れつつ、複数の具体例を挙げながら自分の考えを600字以内で論述します。
課題文章の概要
1. 〈世界像〉の意味と役割
・社会との接続:〈世界像〉は、個人を日常から目に見えない「社会」という抽象的な関係の世界に導き入れ、社会的な存在として関係づける根本原理です。
・自我の確立と実践:自己のライフスタイルや役割を確定し、社会的な共同性の中での〈自我〉を形作る基本通路となります。また、現実の関係を把握し、仕事や権力操作といった社会への実践的な働きかけ、さらには社会構造を改変する手だてとしても不可欠です。
2.〈世界像〉の二義性と「思想」の発生
・イデオロギー:〈世界像〉は社会の秩序を維持・発展させるため、価値観を含んだ「イデオロギー」の機能も果たします。
・矛盾の直観:人間は一般的な〈世界像〉が自分の生を生き難くし、苦しみをもたらすときに、その〈世界像〉が矛盾を孕んでいることを直観します。
・編み変えの行為:思想は、この一般的な〈世界像〉や価値観に対する「意識的な抗いの行為」として発し、〈世界像〉を「編み変えてゆく」ことを通じて、個人の生き難さを支えるものです。
・受容の単純化:複雑な思想も、読み手に受け取られる際には、「それまでの〈世界像〉のどこが編み変えられたか」という要点が、最もシンプルな形に置き直されて理解されます。
教育人間科学部 心理学科
共テ英:100点
共テ国:100点
小論文:100点
合計:300点
大学入学共通テストの『英語』に基準点を設け、基準点に達した者のうち、総合点の上位者を合格とする
独自問題は「小論文」で、試験時間は90分です。
入試要項には「日本語の文章やデータを読み、物事を論理的に考察し、自分の考えを的確に表現できる力を総合的に問う論述等を課す」とあります。
大問1の推論型、大問2のデータ読取り型ともにしっかりとした対策が必要です。
全体に問題量に比して時間がタイトです。
大問1(論理・推論)
短答式:1or2問
論述式:1or2問(合計:600~800字)
大問2(データ読取り型論述)
小問1
データ読取り(300字)
小問2
施策提案(300字)
設問Ⅰ 数学的証明に関する問題
資料として「√2は無理数である」ことの証明のサンプルが示されています。
問1:資料のような証明法の名称を漢字3文字で答える問題です。
問2:資料を読んで考えたことを、「なぜこれが証明になるのかについて、私ははじめは疑問を感じた。しかし、さらに考えることで、その疑問を自分なりに解決し、証明についての理解を深めることができた。以下に、その過程を述べる。」という文章で始めて、全体を600字以内でまとめる問題です。
設問Ⅱ データ読取り問題
図1と図2は、「令和5年版情報通信白書」(総務省)に掲載された、オンライン上での情報取得に関する調査の回答であることが示されています。
図1(横棒グラフ)
・「オンライン上で最新のニュースを知りたいときの行動(複数選択可)」についての、日本、米国、ドイツ、中国の国別データが示されています。
・選択肢には、「SNSの情報をみる」、「検索結果の上位に表示されている情報をみる」、「ニュースサイト・アプリから自分へおすすめされる情報をみる」、「複数の情報源の情報を比較する」などがあります。
図2(帯グラフ)
・「SNS等で自分の考え方に近い意見や情報が表示されやすいことに対する認識」について、国別と日本・年代別のデータが示されています。
・日本・年代別では、20〜29歳から60歳以上までの認識が示されています。
問1:図1と図2から読み取れる日本における調査の回答の特徴、および、そこから推測される問題について、300字以内でまとめます。
問2:問1で指摘した問題を解決するために、日本の20代と50代の人それぞれに向けて、誰が何をどのように伝えるのがよいと考えるか、300字以内で具体的に述べます。
設問Ⅰ 論理的思考・推理能力を問う問題
文章(1)(じゃんけんの推理問題)
・6人でじゃんけんを行い、1回で「勝ち」と「負け」が分かれた状況です。
・6人が出した手の「伸びている指の本数の合計」が、Bさんの弟の年齢と同じになった(グーは0本、チョキは2本、パーは5本と数える)。
・AとCは負けた。
・勝負のつき方(グー>チョキ、チョキ>パー、パー>グー)と、勝者の数に応じた指の本数の合計を示す表が、参考資料として提示されています。
問1:勝った人数を答える。
文章(2)(誕生日の推理問題)
・Cさんの誕生日をAさんとBさんが当てる問題です。
・Cさんの誕生日の候補日が10通り提示されています。
・CさんはAさんに「月」の正解だけを、Bさんに「日」の正解だけを教えました。
問2:Cさんの誕生日を答える。
問3:問1と問2の解答に至る思考過程を説明し、両者の考え方の共通点を800字以内で指摘します。
設問Ⅱ データ読取り問題
資料の概要
・調査対象:全国の満15歳以上の日本国籍を有する者。
・回答者の属性:10代後半(15~19歳)、20代(20~29歳)、30代(30~39歳)の回答を抜粋。
・テーマ:SDGs(持続可能な開発目標)とエシカル消費(人や社会、環境に配慮した消費行動。SDGs目標12と関連)に関する意識と取り組み。
図1
・SDGsやエシカル消費に関する興味や取り組み状況の帯グラフです。
・「興味があり、現在取り組んでいる」「興味はあるが、現在取り組んでいない」「興味がない」「分からない/知らない」の4つの選択肢に対する各世代の割合(%)が示されています。
図2
・「興味はあるが、現在取り組んでいない」理由の横棒グラフです。
・主な理由の例:「参加方法が分からない」「環境や社会に貢献している実感がない」「経済的余裕がない」「時間や気持ちの余裕がない」など。
問1:図1と図2から読み取れることを300字以内でまとめます。
問2:図1と図2に基づき、SDGsやエシカル消費に取り組む人を増やすための方法として、どのようなことが考えられるか(施策の提案)を300字以内で述べます。
設問Ⅰ 論理的思考・推理能力を問う問題
2つの文章に示された論理パズルを読み解き、その推理過程やパズル自体について考察する問題です。
文章(1)(帽子パズル)
パズル1
・赤い帽子2つ、白い帽子2つを使用し、A君・B君・C君の3人が階段状に座る設定です。
・A君(白)はB君(赤)とC君(白)の帽子が見えます。B君(赤)はC君(白)の帽子が見えます。C君(白)は誰の帽子も見えません。
・B君が「しばらく誰も答えない」という「答えの不在」を、A君も考えているという前提のもとで推理に組み込み、背理法を用いて自分の帽子の色(赤)を導き出す点に面白さがあると指摘されています。
パズル2
・赤い帽子3つ、白い帽子2つを使用し、A君・B君・C君の3人が円を描くように「平等」な関係で座る、より複雑な変形パズルです。
・全員(A・B・C)赤い帽子をかぶっており、自分以外の2人の帽子が見えています。
問1:この変形パズルにおいて、B君が突然「僕の帽子の色は赤だ」と答えたときの推理の仕方を、400字以内で記述します。
文章(2)(囚人と円板パズル)
・3人の囚人が釈放者を決める試験に選ばれます。
・道具として5枚の円板(白3枚、黒2枚)が用意されます。
・囚人たちの背中に円板が1枚ずつ貼られます(実際には3人とも白い円板が貼られました)。
・自分の円板は見えませんが、仲間の2人の円板の色は見えます。見たものをお互いに言うことは許されません。論理的な理由付けをもって、最初に自分の色について結論を出した者が釈放されます。
・囚人たちがこの問題をどのように解決できたのかを問う内容です。
問2:文章(1)と文章(2)で提示されたパズルを比較し、パズル自体についての俯瞰的な考察を400字以内で記述します。
設問Ⅱ データ読み取り問題
図1
・高齢者の刑法犯検挙人数の罪名別構成比の帯グラフ
・平成元年(1989年)と平成30年(2018年)の高齢者(全高齢者、男性高齢者、女性高齢者)および全年齢層の刑法犯検挙人数における罪名別構成比(%)を示しています。
・窃盗(万引きと万引き以外の窃盗に分類)、傷害・暴行、横領(遺失物等横領を含む)、詐欺、その他の項目があります。
・検挙人数が記載されています(例:平成元年 全高齢者 6,625人、平成30年 全高齢者 44,767人)。また、参考情報として両年の人口データ(全年齢層、高齢者別)が注記されています。
問1:図1から読み取れる主なことを300字以内で記述します。特に、窃盗や万引きの割合、男女・年代ごとの構成比の変化などに着目する必要があります。例として、全高齢者における窃盗の割合は平成元年(60.2%)から平成30年(77.5%)へと増加していることや、女性高齢者の窃盗の割合が非常に高いことなどが注目されます。
問2:問1の解答の背景としてどのようなことが考えられるか、また、それに対してあなたや社会は何ができるのかを300字以内で論じます。
法学部 法学科/ヒューマンライツ学科 A方式
共テ英:65点
共テ国:100点
共テ選:35点
総合問題:200点
合計:400点
(選)は、「歴史総合、世界史探究」「歴史総合、日本史探究」「地理総合、地理探究」「公共、倫理」「公共、政治・経済」「数学Ⅰ」「数学Ⅰ、数学A」「数学Ⅱ、数学B、数学C」から高得点の1科目。
独自問題は「総合問題」で、試験時間は90分です。
入試要項には「『現代の国語』『言語文化』( 『古文、漢文』を除く)と『歴史総合』『公共』との総合問題とする」とあります。
短答式問題をメインに数問の記述式問題が加わります。正解を導くには接続詞の知識や語彙力・文章読解力が必要です。
知識面では、日本史・世界史・政治経済・倫理の各科目の知識に加えて、法学/法哲学の基礎的な知識があると心強いでしょう。
なお、25年は前年までより論述問題の負担が減りました。
大問1
短答式12問(空所補充・正誤判定)
大問2
短答式10問(空所補充・正誤判定)
記述式2問(30字・50字)
大問3
短答式10問(空所補充・正誤判定)
記述式2問(50字・50字)
設問Ⅰ
文章:自由とセキュリティ、権威主義の兆候(J.S. ミル、トマス・ホッブズ、カール・シュミット)。パンデミックや戦争による不安から生じるセキュリティへの強い欲求と、それによる自由の領域の侵食。
・ミル:自由の抑圧は、かつての国家権力から、現代では社会の多数派(国民の不寛容)によるものへと変質したと論じた。
・ホッブズ: 自然状態ではセキュリティが失われ「万人の万人に対する闘争」になるため、信約(契約)により自然権を放棄して秩序(国家)を構築する必要があるが、個人自衛権は留保されると主張した。
・シュミット: 第一次大戦後のワイマール共和国の時期に議論し、後にナチスに協力した思想家として言及されている。
出典:杉田敦『自由とセキュリティ』
問題(12問)
上記の思想家や時代背景、関連する事象(例:治安維持法、天皇機関説、ナチスの政権掌握)に関する知識を問うている。
設問Ⅱ
文章:市民革命を基礎とする市民社会の成立と、それを支える近代法の原理。
・市民社会の基礎:自由・平等、基本的人権の保障(人身・精神・経済の自由)。
・経済的正義::経済的基礎は商品交換における等価交換法則であり、近代法(民法・刑法)はこれを保障し、不等価交換を「市民的正義」に反するものとして取り締まる。
・所有権:各人の私的所有を「城」として守る所有権の自由と絶対性の保障と、他人の城に干渉しないという制限が両面一体。
・連帯の思想:商品交換は社会性を持ち、消費者の満足と生産者の責任を互いに分かち合う連帯の精神が市民社会の根底にある。
・法制:イギリス・アメリカ法は判例法主義、フランス・ドイツなどの大陸法は制定法主義をとる。
出典:渡辺洋三『法とは何か(新版)』
問題(12問)
イギリスの権利章典、アメリカの独立、日本国憲法が保障しない経済活動の自由、フランス人権宣言、市場の失敗の原因、ホッブズの市民的正義、所有権の制限、責任(賠償責任や納税義務)、分業の必要性、革命と法典編纂(ナポレオン法典)などに関する知識を問うている。
設問Ⅲ
文章:明治期から戦後にかけての日本の司法制度の継受・変遷と、その背景にある政治的要因。
・導入の目的: 明治政府が存立にかけて達成すべき不平等条約の撤廃のため、西欧的基準に合致する近代法制が必要とされた。
・変遷(1)仏→独型: 当初はフランス法を範としたが、憲法制定の模範がプロイセン(ドイツ)になった影響で、旧憲法(大日本帝国憲法)制定時にはドイツ法型へ移行した。これは明治当局者の自発性を伴う大陸法系統内での転換であった。
・変遷(2)独→米型: 第二次大戦の敗戦後、占領政策の一環として現行憲法(日本国憲法)がアメリカ法型に倣った。これはそれまで慣れ親しんだ大陸法とは系譜的に異なる異質な制度への転換であり、大きな振幅と不協和音を現在の司法制度にもたらしている。
出典:三ヶ月章『民事訴訟法研究 第6巻』
問題(12問)
同義語、不平等条約改正の動向、日本の開国時期の出来事、国会開設運動、プロイセンの政治体制、旧憲法(大日本帝国憲法)の特徴、現行憲法(日本国憲法)の特徴、最高裁判所の権限、占領期間中の政策(財閥解体、天皇の地位、共産主義者、農地改革)に関する知識や、司法制度変遷の背景に関する要約を問うている。
大問Ⅰ
文章: 数値が支配する社会における人間の序列化とその帰結としての優生思想。
1.数値化と序列化
・現代社会は数字によって人間を序列化し、「役に立つか立たないか」で人間を切り分ける。
・イギリスの哲学者ベンサムらが展開した功利主義(最大多数の最大幸福)は、幸福を数量化し、「数」の基準を価値に導入した。
2.国家と生産性の基準
・日本の障害者政策は、戦時中の「役に立った人」(傷痍軍人)の支援制度に影響を受け、戦後は「経済的に役に立つか」(生産性)という基準に変化している。
・個人が健康診断などで自分の身体を数値化し、健康を管理する行為は、一見個人的なものだが、実際には国家が医療費抑制という国家の意志を利用して内面化させたもの。健康であることは、労働者として国家の役に立つという点で都合が良いと論じられている。
3.最終的な帰結
・数値化と競争主義による序列化は集団内の差別を生み、その最終的な帰結が優生思想(優れた子孫を残すことで社会集団を強化しようとする思想)であると指摘されている。
・優生思想はダーウィンの進化論が受け入れられ始めた19世紀末に広がり、知能テストは、当初の目的とは異なり、アメリカの優生主義者によって「劣った」とされる人種を選別し、断種(強制不妊手術)を行うための道具として悪用された。
4.筆者の主張
・これらの問題提起から、筆者は、人間を客観的な基準によって評価することの弊害と、当事者の経験の個別性やディテールを尊重する必要性を主張している。
出典:村上靖彦『客観性の落とし穴』
問題(12問)
・空所補充×3
・正誤判定×3
・選択 ×1
・文章挿入×1
・文挿入 ×1
・人名選択×1
・論述(100字)×1
・言い換え(記述)×1
大問Ⅱ テーマ: 戦後の日本の安全保障の歴史、特に軽武装路線と自主憲法制定論の展開。
1.非武装化から再軍備へ
・第二次世界大戦後、GHQは当初、日本を非武装化させたが、ソ連や中国など共産勢力の伸長を背景に、日本を「極東における防壁」にするとして再軍備に転じた。これを逆コースと呼ぶ。
2.軽武装・経済重視路線(吉田ドクトリン)
・当時の吉田茂首相は、国民負担を避けるため、警察予備隊の創設(後の自衛隊)にとどめ、日本の防衛を在日米軍に委ね、戦後復興に注力する「軽武装・経済重視」の路線をとった。
3.憲法改正論議の展開
・再軍備の動きに伴い、自主憲法制定論が勢いづく。
・改進党は、日本国憲法のほぼすべてを書き直す案を提示し、特に憲法第9条に「国家の独立と自由を防衛するため、陸海空軍その他の戦力を保持する」ことを明記するよう提唱した。
・その後、自由党も改正案を発表し、翌年の保守合同(1955年)に先立ち、両党の基本的な意見集約がなされた。
出典:大石格『保守合同で勢いづいた自主憲法制定論』
問題(12問)
・正誤判定×10
・論述(100字)×2
大問Ⅲ
文章:「平等」をめぐる議論と、形式的正義・実質的正義の関係、および価値相対主義に基づく民主主義の必要性。
1.平等を可能にする基準と不平等
・平等には一定の基準が必要で、基準がなければ平等は実現しない。
・税制における平等の議論
人頭税方式(一律同額):大きな不平等を生む「悪税の典型」とされるが、パーティ会費など状況によっては平等とされることもある。
同率所得税方式:生活への打撃度を考慮すると、低所得者に重い負担を負わせる不平等なものと評価される。
累進税率方式:一般に同率方式より平等に近いとされる。
・最終的に、個人の財産権を擁護する自由主義的な価値観を採るか、高負担の税で経済的な格差を是正しようとする価値観を採るかの問題に帰着する。
問題
2. 形式的正義と実質的正義
・同額徴収、同率課税、累進課税のいずれも、一定の形式的な基準に沿って税が徴収されるならば、形式上は平等な扱いをしており、一定程度の正義を満たしている。何の基準もない恣意的な判断を排除することを求める。
・形式的に平等なルールが存在しても、「実質的に不平等である」と非難されることがある。実質的正義を教えてくれるための基準は法律の形では存在せず、それを決めるのは立法や世論という政治の現場である。
3. 価値相対主義と民主主義
・実質的な意味で真の平等や正義がどれかを論理的に導くことは難しい。実質的正義を知るための客観的な方法や基準は存在せず、学問的にも答えを出すことはできない。
・客観的に正しい結論が分からないからこそ、立法という政治の場において、民主主義的多数決が必要とされる。客観的に正しい結論が分かっていれば、国会や民主主義の過程は必要ないことになる。
出典:木原淳『入門法学読本』
問題(12問)
・空所補充×7
・文挿入 ×1
・接続語 ×1
・正誤判定×1
・文整序 ×1
全て選択式
大問Ⅰ
テーマ:わが国民法典の編纂と法意識
・民法典編纂の目的:江戸時代の民事法の統一に加え、不平等条約の改正が直接的な前提であり、国の「富強」の手段として「国民相互間の権利義務の確定」が目指された。
・フランス民法典との相違:フランス民法典が人権宣言に適合するものとして制定されたのに対し、日本民法典は国の独立と対等の地位を保つための「富強」の手段として制定されたという特色を持つ。
・「自然権」の認識:民法が私法的な権利義務を確保する法律であることは認識されていたが、それが「自然権の保護」であるという認識の表明や強調が、当時の関係者および後世の法学者に十分でなかったことが残念であるとされる。
・日本の法観念:基本的な社会規範として「義理」と「人情」があり、「義理」の遵守は、相手からの要求を待たずに自ら進んで行為内容を推測して行うことが期待され、違反に対する制裁は「恥」であると六本教授は説く。
・権利観念のギャップ:「義理」「人情」の観念と、欧米法の基本である権利・義務の観念との間にずれがあり、権利主張が利己的な主張と考えられがちなことが、法律の意味を減殺させる課題であるとされる。
出典:星野英一『民法のすすめ』
問題(12問)
・正誤判定×6
・言い換え×1
・空所補充×1
・接続語 ×1
・読みがな×1
・論述(100字)×2
論述以外は全て選択式
大問Ⅱ
テーマ:ハンナ・アーレントの「公/私」の二分法と近代社会
・アーレントの「人間性」の条件:ハンナ・アーレントは、西欧的な「人間性」の成立を「公(public)/私(private)」の二分法と結びつけ、「労働」「仕事」「活動」の3つの条件のうち、「活動」を最も重要とする。
・古代ギリシアのポリス:「活動」(言語と身振りによる非物理的な働きかけ)はポリスの本質である「政治」と結びつけられた。市民は「私的領域=家」で欲求を充足されるため、「公的領域」では利害に煩わされずにポリス全体の討論に専念できた。
・「私的領域」は、権力・暴力による支配が行われる閉ざされた空間であり、市民の生物的・物理的な欲求が充足される場であった。
・近代社会と「活動」の困難:近代国家では、経済活動が「家」の外へ移動し、「私的領域」が「公的領域」を支える構造的前提が崩れたため、「活動」の習得が困難になった。近代の議会では、代表者が支持集団の利害を代表して発言し、利害関係によって離合集散するようになる。
・「社会的領域」の形成:「公的領域/私的領域」の境界が曖昧になり、両者の中間に「社会的領域」が形成された。これは、不特定多数の反応パターンを法則化・統計化できるようになったことによる。
・「私生活(プライバシー)」への逃避:「社会的領域」の拡大・浸透により、人々は刺激に反応するだけの「社会」に疲弊し、「家」の中の「私生活」に安らぎを求めるようになった。
・プライバシー神聖視の理由:近代人が「私生活=プライバシー」を神聖視するのは、画一的な行動を強いる「社会的なもの」から逃避し、人間らしさを保持するための不可欠の基盤とみなしたためである。
出典:仲正昌樹『「プライバシー」の哲学』
問題(12問)
・空所補充×3
・文整序 ×1
・文選択 ×1
・接続語 ×1
・図表読取×1
・正誤判定×2
・論述(100字)×2
論述以外は全て選択式
大問Ⅲ
テーマ:ケインズとベバリッジの思想
・背景:20世紀初頭、古典的自由主義が社会主義とファシズムに挟撃される中で、ケインズ(経済学者)とベバリッジ(社会政策学者)が登場した。
・ケインズの主張(経済学):
・自由な市場に委ねれば私的利益と社会全体の利益が一致するという古典的自由主義の想定を批判した。
・不況時には、貯蓄増加、労働者の賃金抵抗、消費の停滞などにより、失業や不況が深刻化する。
・政府が金融政策や財政政策(公共投資による雇用創出)で介入することで、市場メカニズムは安定的に機能するとした。
・ベバリッジの主張(社会政策):
・自由な市場を機能させるためにこそ、国家による雇用政策や再分配が必要と考えた。
・1942年の「ベバリッジ報告書」で、市場では根絶できない「五つの社会的な悪」(貧困、病気、教育不足、不衛生、失業)を挙げた。
・すべての国民が加入・均一拠出する単一の社会保険を提案し、「ナショナル・ミニマム」(最低限の生活保障)を保障する仕組みを提案した。生活保障は国民の権利とされた。
・戦後の実現:彼らの構想は、第二次世界大戦後、完全雇用政策と福祉国家の組み合わせとして、先進国で広く実現した。
・現代の挑戦:グローバル化の中で、国家の保護や格差抑制が経済的効率性を損なうとする新自由主義という考え方が広がり、保護を最小限にして自助努力を促すべきとされる。
出典:田中拓道『るベラるとはなにか』
問題(12問)
・正誤判定×8
・空所補充×3
・用語選択×1
全て選択式
総合文化政策学部 総合文化政策学科 A方式
指定する英語資格・検定試験のスコアを「出願資格」とする
共テ国:110点
共テ選:100点
総合問題:100点
合計:310点
(英資格)
英検(4技能):2100
受験級・合否は問わない
IELTS:4.5
TOEFL iBT:50
TOEIC L&R S&W:940
TEAP(4技能):260
GTEC:1100
(国)は近代以降の文章
(選)は、「歴史総合、世界史探究」「歴史総合、日本史探究」「公共、倫理」「公共、政治・経済」「数学Ⅰ、数学A」「数学Ⅱ、数学B、数学C」から高得点の1科目。
独自問題は「総合問題」で、試験時間は60分です。
入試要項には「『現代の国語』、『言語文化(近代以降の文章)』、『地理歴史、公民(主に『歴史総合』、『世界史探究(現代史)』、『日本史探究(現代史)』、『公共』、『倫理』、『政治・経済』)」とあります。
総合文化政策学部 総合文化政策学科 B方式
共テ英:100点
共テ選:50点
論述:200点
合計:350点
(選)は、「歴史総合、世界史探究」「歴史総合、日本史探究」「公共、倫理」「公共、政治・経済」「数学Ⅰ、数学A」「数学Ⅱ、数学B、数学C」から高得点の1科目。
独自問題は「論述」で、試験時間は80分です。
入試要項には「文章やデータを読み、分析する能力、自分の文章を論理的に展開できる力、自由に発想する力、自分の意見や発想を十分に表現する力を総合的に問う論述等を課す」とあります。
地球社会共生学部 地球社会共生学科
共テ英:100点
共テ選:80点
論述:120点
合計:300点
(選)は、「国語(近代以降の文章)」「歴史総合、世界史探究」「歴史総合、日本史探究」「地理総合、地理探究」「公共、倫理」「公共、政治・経済」「地理総合/歴史総合/公共」「数学Ⅰ、数学A」「数学Ⅱ、数学B、数学C」から高得点の1科目選択。
独自問題は「論述」で、試験時間は60分です。
入試要項には「文章や図表などを読み、理解力、分析する能力、自分の文章を論理的に展開できる力、自分の意見や発想を十分に表現する力を総合的に問う論述等を課す」とあります。
コミュニティ人間科学部 コミュニティ人間科学科
共テ英:100点
共テ国:100点
論述:100点
合計:300点
独自問題は「論述」で、試験時間は60分です。
入試要項には「文章(図表を含む)を読み、分析する力、思考・判断する力、並びに文章を論理的に展開・表現する力を総合的に問う論述などを課す」とあります。